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スケール機の着陸

 以前に売られていた中国製の90チップマンクを2001年5月連休に飛ばしました。 しわの取れないビニール系のフィルム張りのこの機体は、背中の曲面部分が固い粗悪バルサ製で、 その他に桐材の骨と板を随所に使っています。かなり頑丈に出来ているのは良いのですが、とにかく「重た~い!!」のです。 翼幅1660mm、全長1300mmのくせに重さ3.8kgもあり、燃料入れたら4kgを超えます。 離陸するにしても軽い90スタント機の2~3倍の滑走距離が必要で、離陸したあともゆったりとした上昇しかできません。 OS-FS91エンジン搭載ですが、プロポのステイックが急に重くなった感じがします。 それでも上空に行き、機速がついてしまえばループやロール、 スナップロールなど出来ることはできるので、一応は飛行機としてキチンと飛びます。 ロールしながらの垂直上昇も可能ですので、この辺は取りたてて言うこともなくそれなりに飛びます。上昇しきった所からこの機体の本領を発揮します。落ちる際の加速がすごいのです。昇りの時の倍位と言えば解かるかな? 重い機体だから仕方ないか!!と妥協して飛ばしています。機体が重いと燃費が悪くなるのも実感できます。 同じOS-FS91エンジンのスタント機やEZ零戦に比べ予想外に燃料を食うので、早めに着陸コースにいれました。

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着陸1回目:スタント機の様に降ろす 通常のコースで降下率も普通にしました。スピードも程よい位に減速し、 あと地面まで60cmの所でアップを引き綺麗に着地かなと思た瞬間、 「ドスン」と着地してしまいました。ついつい重さのある機体であることを忘れ、何時ものスタント機のつもりで降りた結果です。 重たいスケール機の特徴です。スタント機ならこんな事は起きません。直径5.3mmの両脚は完全に後ろにネジ曲がり、 スパッツは粉みじんに飛散しました。でも脚の取り付け部は壊れなかったので、手で無理矢理に元どうり修復できました。 頑丈なのには恐れ入りました。こんな降り方?、落ち方しても脚の付け根が取れないなんて。 あらためて着陸の基礎を思い出しました。重い機体=翼面荷重が大きい=揚力を大きくする必要あり=沢山空気を切る必要があるのです。 当たりまえですが、初心に帰って着陸練習せねばなりません。

着陸2回目;迎え角を大きくしてゆっくり降下させる 進入角度は小さく押え、主翼の迎え角を大きくして、プロペラの回転を幾分高めゆっくりとひっぱて来ても、 速度が遅かったのか30cm位の高さから「ドスン」と着陸してしまいました。スタント機の様にはいきません。 (要するにまだ感覚がつかめず下手なだけですけど。) 「ドスン」と落ちた後は、テールが急に下がるので大きな迎え角になります。すると今度はいきなり飛び上がるように宙に浮きます。 機速が無いので、また直ぐに落ちるのですが、こんなバウンドをビョン、ビョンと2度、3度と繰り返してしまいました。 バウンドした機体は方向のコントロール不能になり、 滑走路横の土手に、右翼端を「ガツン」とぶつけ、反動で回転し、今度は左の翼端を「ガツン」とぶつけ、やっと停まりました。 EZやバルサの機体なら明らかにつぶれたり、変形する衝撃でしたが、何故かこの機体へこみすらできません。 頑丈なことは良いことです。

着陸3回目;進入スピードを速めにし浮かしながら滑らかに降ろす 同じミスは2度としないように、次は十分な揚力を持たせ滑らかなランディングすべく降ろしてみました。 進入よし、路面へのタッチ良し、安定した路面滑走に入り実機並に綺麗に滑走しています。 実機と違うのはブレーキを持っていないことです。滑走路は3/4も過ぎてます。 重たい機体だけあって止まりません。前方の土手がせまってきます。エンジンカットしても止まりません。 このまま行ったら大破します。土手の高さは40cmほどです。いちかばちかでアップを引いてみました。 機体はフワット50cmほど上昇し土手を超え、2メートルほど飛んで直ぐに草むらにドスンと落ちました。 「ガツン」と何か固い物にぶつかる大きな音がしました。仲間が回収して来た機体は、 脚こそ曲がっていますが破損個所は見られません。何と頑丈な事か!又もや感心です。 (後で翼を外した時に、胴の側面板(桐)接着剤が15cm程剥がれていた。これは、エポキシで修理。) スタント機に比べるとスケール機が難しい事は良く理解していたつもりです。 軽いEZやバルサの機体でもスケール特有の癖があります。 でもこのチップマンクの様に重たい機体を飛ばしたのは初めてです。 ただでも難しいスケール機で、しかも「めちゃ重い」ときては着陸が更に難しくなります。でも、 こんな機体でもスムースに降ろせるように腕を上げておかないと、零戦を綺麗に着陸させる事はできないでしょう。 模型のフライトショーに出場している零戦ですら、着陸でバウンドしたり、方向がずれたりする位ですから。 零戦を飛ばすた為に、この機体で着陸練習をしているのです。 スケール機を飛ばすためにはこの難関を突破しなければならないのです。 「高性能のショックアブソーバ装備なら!」、「滑走路が長ければ!」、 「ブレーキが着いていれば!」、なんて無いものねだりしてもはじまりません。 丁度「ヘリコプタ飛ばしたければホバリングを!」に似てます。

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着陸4回目;フラップを使って降ろす
 次の週の日曜日。天気快晴、微風、湿度60%、気温25度と、めったに無いラジコン日和りです。 今日はフラップの威力を調査することにします。 プロポには、フラップに同期してエレベータに20%ダウンのミキシングを設定をしました。 スタント機は両方のエルロンを上に上げるブレーキの際に、エレベータに10%ダウンのミキシングをかけています。 チップマンクのフラップはスタント機より、ガバと大きく開くので20%位だろうと見込んでかけました。

 いきなりフラップを使って着陸するのは怖いので、上空でフラップを出し、どの位揚力が増すのか様子を見ましまた。 その結果、思いのほか低速でも安定して飛行することが判りました。 フラップを出すと揚力が大きくなります。フラップを出してゆっくり飛ばすと、 セスナと同じくらいの速度にできることから、私にも降ろせそうだなと直感しました。 いつものコースで着陸進入開始し、エンコンを最スローにしたところ、機速がグーとおちるのが判ります。 これでは滑走路まで来ません。少し、エンジンの回転を加えながら滑走路に向けてゆっくり降ろしてきます。 高度調整、左右傾きも余裕を持ってコントロールできます。 何のことはない、タッチダウン後10m程度の滑走で無事に停止させる事ができました。

 フラップはだてに付いているのでないことを実感しました。その後、5回連続で安定した着陸をする事が出来、 フラップの威力はかなり大きい事も証明されました。先週のブザマな着陸が嘘みたいです。 スタント機の場合は軽く、浮きが良いし、素直ですし、パワーのあるエンジンを装備しているし、何と言っても、 全長が長く停止時の頭上げ姿勢も少なく、着陸はきわめて楽です。
 これに比べると、全長が短いスケール機は、 停止姿勢の頭上げが大きく(実機の場合は前方の景色が見えないそうな)、 着陸の際のバウンドや前のめりにかなり神経を使います。 胴が短いと曲技をやっても方向が定まらず、また低翼のためナイフエッジでは常時エルロンを抑えていなけばならず大変です。 スタント機ファンがスケール機の事を「げてもの」と表現していましたが、まさにそのとうりと思います。 でも、何故かスケール機は「飛行機飛ばしてぞ~、と言う感じがし」、これはこれで趣があります。 スケール機を飛ばしたあとでスタント機を飛ばすと、「板を飛ばしている」様に感じるほど素直です。

 こんな調子ではGB-R1やGB-R2の卵に脚付けた様なレーサーは、 舗装した滑走路でないとすぐこけるだろうなと思った次第です。雑草の多い我らが飛行場では当面望み薄でしょう。

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